![]() | わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書) 西林 克彦 光文社 2005-09-20 売り上げランキング : 1569 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
文章を読んでなんとなくわかったような気になったけど、どこかぼんやりしていてイマイチ理解できてないような気がする…ということがよくあります。
この本ではそういう状態を「わかったつもり」と定義しています。
そして、なぜ「わかったつもり」に陥るのか?「わかる」とはどういうことか?どうすれば「わかったつもり」から「わかる」に移行できるのか?が例題を用いて具体的に説明されます。
本文中に使われている例題文を一読した直後は、見事に「わかったつもり」状態を味わえます。
その後、読みを深めていくと「わかったつもり」から「わかる」に一段階進んだことが実感できます。
この過程が面白いので、この部分だけでも読むことをオススメしたい。
さて、この本でいうところの「わかる」のポイントは
・文脈(話の背景・状況)
・スキーマ(あることがらに関する知識群)
の2つ。
文脈がわかると、関連するスキーマが呼び出され、「わかったつもり」だった文章がより深く理解できるようになる、ってな具合。
たとえばこんなあらすじの物語(※)があったとします。
「独立戦争の最中、偶然にも連邦側の新兵器で独立軍と戦うことになってしまった主人公の少年が、宿敵や仲間との出会いや別れなどいろいろあって成長していく話」
これだけ読むと、「フーン」となんとなくわかった気になりますが、そこに、
・人類は増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになっていた。
・地球に残る特権階級と宇宙移民との間に軋轢が生じていた。
・主人公の父は仕事で留守がち、母は別居状態であった。
・宿敵は仮面をつけている。
…みたいな文脈が見えてくると、
・何時の世も移民というものは排斥・抑圧されがちな存在である。
・親が不在で一人で過ごす環境だと、部屋にこもりがちで内向的な子に育ちそう。
・一般的に、仮面をつけるのは素顔(素性)を隠すため。
…といったスキーマが呼び出され、
・独立軍側にも理があるのでは?
・主人公は愛情に飢えていたのでは?
・宿敵の本当の目的は別にあるのでは?
…といったように、より深い読みに到達することができるようになる、てな感じ。
もちろん、これで終わりというワケではなく、この段階は新たな「わかったつもり」であって、更に新たな文脈からより深い読みをしていくことも可能です。
大事なのは、自分が今「わかったつもり」で止まっているのでは?ということを意識する姿勢、ということがわかりました…もとい、「わかったつもり」になりました。
Posted by hide at 2008年08月19日 12:12 | TrackBack